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 そして、その日の業務終了間際に、もう1つ「ヤマ」が訪れました。

 少年達が帰り、間もなく閉店を迎えるというその時、1人の青年が店から出て来ました。ごく平然としていて、一見不審な点などありません。私も、普通に見送っていました。しかし、その後ろ姿に違和感を感じて見送っていると、やがてそれに気付きました。彼は店の籠をそのまま持っていたのです。

 但し、この時点では彼を疑う事は出来ませんでした。最近はエコロジーの観点から、ビニール袋を使用せず、マイバッグを使用したり、商品を自家用車や自転車に直接積み込む事が少なくないからです。
 私は、彼の行き先を見送りつつ、ゆっくりと移動を始めました。彼は駐輪場でも駐車場でもなく、店の前の道路を渡ったのです。
 違法行為である事は、ほぼ間違いない。けれど勤務初日から誤認逮捕をする訳には行きません。

 実は、このスーパーでは依然誤認逮捕があり、大きな問題になった事がありました。その後、万引き等で現行犯逮捕する事を事実上禁止する通達がチェーン展開する全店舗に伝えられました。そのようなトラブルを再発させるよりも、多少の被害に目をつぶった方が良い、という判断だったのです。結果的には、これが事態を悪化させる事になってしまった訳ですが。
 
 私は道路を横断しました。その足音に気付いた青年が振り返りました。その挙動と表情から、疑いは確信に変わりました。
 私は一気に距離を詰めましたが、一瞬早く彼が走り出しました。商品の入った籠はその場に置き、暗闇の中に走り出したのです。敵ながら見事な逃げっぷりでした。

 これが勤務初日でなければ、もっと早く声を掛けていたと思います。また、土地勘のないその状況で追跡する事はリスクが大きいと判断したのですが、これも初日でなければもう少しは追跡出来たかも知れません。

 狙われた商品は、お米やビール、お刺身などの生ものもありました。全て食料品です。明らかに手慣れた動きと様子から、初犯ではないと推測されました。

 その後、防犯カメラで確認した所、彼は入店から退店まで僅か8分しか店内にはいませんでした。狙いを定めた、計画的な犯行だという事です。
 見た目はごく普通の人々が、ごく平然と窃盗行為に及んでいる。そこに罪の意識は殆どないと思われました。

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 6人の少年達は、店内に入ると同時に2手に別れて動き出しました。明らかに怪しい動きです。
 一方はレジや店長らから見える位置で動き、一方は死角へ死角へと入って行きます。
 私は、ペアを組んでいたパートナーに陽動と思われる者達を遠方から見張らせ、自身はもう一方へと近付きました。

 本来であれば、業務初日から彼らに認識される事は避けたかったのですが、こうも堂々と動かれて、手をこまねいて見ている訳にも行きません。
 また彼らの方でも店舗の外にいる内から我々を認識していたらしく、店内を動きながらこちらを意識し始めました。こうなると現行犯で身柄を押さえる事も困難です。
 私は、敢えて距離を詰める事でプレッシャーを掛けて、店に来にくい状況を作ってしまうという当初考えていたプランの1つに急遽切り替えました。

「何だよ、何見てんだよ?」「警察かよ?」

少年達は口々に不満を漏らしつつも、間もなく店を後にしました。
これは、後に長く続く事になる、彼ら窃盗グループとの戦い日々の始まりに過ぎませんでした。
 
 その日だけでも、他にも制服姿の少年達5人が来店し、これまた堂々と店内を回り始めました。
 その目線や態度から、買い物をする雰囲気は皆無でした。店の外で既にこちらの存在を認識されていたので、先程と同様に距離を詰めてプレッシャーを掛けました。

「何だよ、何もしねえよ」

 等々、彼らも口々に不満を漏らしつつ店を後にしました。彼らは、その後しばらく姿を見せなくなりました。

 推測の域は出ませんが、学生であるという事は万一の場合学校に通報されて様々な処分を受ける事になりかねません。
 護るべきものや立場があるものは、そうそう馬鹿な真似はしないものです。

 その点、特攻服の少年達は、来店した時間やその服装から学生である可能性が低いと推測されました。失うものがない、あるいは失うものが少ない者達は恐れを知りません。
 こういう者達が一番厄介なのです。

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 首都圏の某所において行われた業務について、可能な範囲でお話ししたいと思います。Protectionとリスクコントロールの観点から、ケーススタディとして適していると判断した為です。

 今思うと、非常に危うい橋を渡っていた時期もありました。警備の枠を超えた業務でもありましたが、クライアントの利益を護る事を最優先事項として考えて、敢えて実施した部分もありました。
 スタートはProtectionではなく、それどころか警備としての契約でもなく、特別保安という調査主体の契約でした。

 クライアントは某有名スーパー。最初にクライアントのインタビューで出た言葉は、「窃盗集団が毎日のように店に訪れて困っている」というものでした。窃盗集団という言葉に、大袈裟だと感じたのが正直な印象でした。しかし、そんな意識は勤務初日で見事に覆されました。

 冬の寒い日。店舗周辺で警戒していると、様々な色の特攻服に身を包んだ6人の少年達が店の中に入って行きました。店内にいた店長やスタッフの表情から、彼らが問題の集団である事は明らかでした。しかし、少年達であるとは聞いていましたが、明らかに15~16歳の、幼さすら残すその姿に驚くと同時に、その時点でも窃盗を働く事が信じられない自分がいたのでした。

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とあるスーパーにおいて保安業務に従事していた際に耳にした会話。
 
母親「今日は何を食べたい?」
子供「元気寿司!」
 
一瞬言葉を失った後、笑い出す母親と、つられて笑いそうになる私。
ん~、お母さんはそういう事を聞いていたんじゃないと思うぞ。
とはいえ、微笑ましい光景を目にして心安らぐ瞬間でした。
 
こんな事もあれば、忍耐と体力、そして注意力を必要とする。それが保安業務です。

次回から、実際に私が勤務した保安業務について、ケーススタディとして可能な範囲で業務内容をお話したいと思います。

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 物理的な襲撃に対しては、ある程度物理的な対応が必要になります。

 門を閉めるなどして出入りを制限するのか、防犯カメラなど機器に頼るのか、それこそ警護員や警備員を配置するのか。
 いずれにしてもまずは物理的に近づけない状況を作り上げる事になります。それに対して、精神的な襲撃は少々厄介です。

 基本的には一方的に攻撃して来る事が出来るので、すぐに防ぐ手段はありません。
 
誘拐や拉致などを示唆するような直接的なものはもちろん、振り込め詐欺等でも一般の人は恐怖を覚えると思います。右翼などの街宣活動や誹謗中傷のビラ配りなど、精神的に重圧をかける方法は幾らでもあります。しかし、もちろん対応方法はあります。
 相手の襲撃によって精神疾患(不眠症など)をこうむった場合には、傷害事件として立件の対象となります。
 街宣活動なども、合法的に中止させる方法はあります。

 問題は、襲撃そのものに惑わされる事なく冷静に対応する事です。法律上の知識があれば、それは十分に身を護る武器となります

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