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Protectionは最も大変で、面倒で、最も難しい仕事だと言った人がいます。
何事もなくて当たり前。何かあれば警護員の責任になります。現実的には接待的な要素も少なくありません。ドラマや映画のイメージでこの世界に入ってしまうと、そのギャップに戸惑う事も少なくないと思います。
対象者と外出する時など、その行き先についての情報は当然持っているものと思われています。従って、初めて行く場所であっても可能な限り事前に情報を収集する必要があります。急な外出であれば、対象者と動きながら必要な情報を収集する事になります。
初めて行った施設で、対象者がトイレを探した時に、素早く案内出来るのは当たり前です。一緒になって探すようでは素人の域を出ません。万一の時に非常出口を探す時間だってないかも知れません。
そういった最低限の情報を、対象者に同行しながら確認する事は、警護員にとっては初歩の初歩なのです。
言うまでもなくProtectionにおいては対象者の利益や都合が優先されるべきです。原則的に、警護員の都合が対象者の都合に優先する事はありません。
唯一、警護員の都合や意思が優先されるのは、襲撃時などにおいて対象者を引きずってでもその場を離脱しなければならないような状況です。
この場合には、対象者の生命を護る事が最優先されるので、例え対象者自身が残ると言っても、警護員の判断で離脱する事になります。この時、対象者との間に信頼関係があるかどうかでは大きな差があるでしょう。
事前の情報でその日の行動がハイリスクであると判断された場合に、対象者に予定を変更または中止して貰う必要があるかも知れません。このような場合でも、信頼関係の有無は業務の成否を分ける可能性があるのです。それはつまり、対象者を護る事が出来るかどうか、という事になります。
だからこそ対象者の信頼を得る事が重要なのです。
対象者が何時出て来るか分からないので、その場を離れる訳には行きません。
座り込んだり、壁に寄りかかったり、暑いからと言って上着を脱いでだらけていたり。気を抜いていると、いつか必ず対象者にそのような姿を見られる事になります。そうすると、当然ながら対象者の警護員に対する評価もその程度のものになります。
逆に、例え5時間後でも10時間後でも、変わらずに毅然とした態度で立ち尽くしていたら、仕事を終えて出て来た対象者はその姿を見てどう思うでしょうか。当たり前と思う人もいるかも知れませんが、流石だなあ、この人についていて貰えれば間違いないなあ、と。そう思って貰えるのではないでしょうか。
この対象者の信頼を得る事こそが、Protectionにおける最大の課題であると言っても過言ではありません。逆に、対象者の信頼を得る事が出来なければ、本来護れる筈の対象者でも十分には護りきれない事になってしまうでしょう。
忍耐や根性といった精神論は時代遅れのナンセンスな考え方だと思うかも知れません。しかし、実際の現場ではこの精神面を問われる場面が少なくありません。
ある対象者についていた時の事です。夜の10時頃に自宅に戻り、さあ夕食をとって施設周辺の巡回などなど夜間の態勢に切り替えようか、と思ったその時、対象者が出て来て、仕事が残っているので会社へ行くとの事。再び同行して会社へ行き、すぐに終わると思う、というその言葉を信じて会社の前で立哨待機を始めました。
そうして時間は刻々と過ぎていき、気付けば朝の5時近くなった頃に対象者が出て来ました。もちろん、対象者が何時出て来るか分からないので、その間はずっと会社の前で立ち尽くしていました。
このような事は、Protectionの現場では寧ろ当たり前だと言って過言ではないのです。