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ある企業の社長と副社長の警護を実施していた時の事です。
対象者が自宅に帰り、勤務を夜間体制に切り替えると、対象者宅周辺の巡回が始まります。
身辺警護というと、ドラマや映画の影響でどうしても派手なイメージが先行していますが、実際にはとても地味な部分が多く存在しています。
対象者に同行している時でも状況に応じて対象者との位置を常に考えています。そして対象者を自宅や会社等に送り込んだ後も、当然ながら業務は継続します。
この時は対象者宅を中心に二重の警戒線を設けて、時間毎に各所を巡回しました。
自宅の全ての出入口の施錠確認はもちろん、その周辺の塀や植え込み、施設等に至るまで、異状の有無を確認します。
自宅の全ての出入口の施錠確認はもちろん、その周辺の塀や植え込み、施設等に至るまで、異状の有無を確認します。
ある日の事、いつものように巡回していると、通り過ぎた女性から挨拶と共に、
「いつもご苦労様です」
と、声を掛けられました。一瞬、対象者の関係者かな、とも思いましたが女性の顔には見覚えがありません。私の表情に戸惑いがあるのを感じたのか、女性が続けて言いました。
「この近所に住んでいる者です。最近、夜中に見回って貰っているおかげで安心です」
との事でした。全く意識していなかっただけに、恥ずかしいような、嬉しいような、複雑な気分でした。
その付近は高級住宅地で知られる場所であると同時に、空き巣などが多い地域でもありました。実際に、警備の開始以前には対象者宅やその隣近所でも空き巣に入られた事がありました。
それだけに、夜中の巡回が地域の防犯に一役かっていたようでした。
何がどこで評価されているか、良くも悪くも分からないものなのですね。
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トレーニングにおいても、このような理不尽さに慣れる事を目的とする事があります。
ある時、どう考えても1週間程度を要する資料作成を、3日で仕上げるように言われた事がありました。
指示は絶対だったので、私は睡眠時間を削って資料を仕上げました。勿論、通常の業務はありますので、昼間は眠くて仕方がありません。
しかし、仮に昼の業務で居眠りをしてしまったり、それによってミスを犯したとしても、資料の事やそれによる睡眠不足は言い訳にはなりません。いや、してはいけないのです。
この程度の事が出来なければ、警護員として1人前にはなれないといって過言ではないでしょう。
何故なら、対象者が動き続けて食事も休憩も取れない状況が続く事など少なくないからです。この時に、それを言い訳にする事は出来ません。
私自身、対象者を待って8時間以上立ち続けた事があります。
深夜の事です。眠くて仕方がありませんでしたが、その場を離れる事は勿論、対象者が何時出てくるか分からないのでまともに息を抜く事も出来ませんでした。
それでも当たり前のように立ち続け、何事もなかったかのように対象者を迎える。それがプロの仕事と言えるのではないでしょうか?
警護業務に就く中で、不法集団に対応する事があります。
右翼、左翼、悪徳業者など、色々な人達の対応をして来ました。彼らは、金あるいは仁義、恐怖など様々な理由で結ばれていると推測されますが、一様に言えるのは皆必死だという事です。
結果が出せなければ先輩や上司に殴られるとなれば、誰だって必至になるでしょう。そうやって必死で向かってくる相手に、軽い、薄い気持ちでは到底対応出来ないのです。
雪の中で何時間も待ち続けた私の嘗ての上司は、それだけの負けん気と根性を持っていました。当然ながら、チンピラ相手に気持ちで負ける事などありません。これがそのまま、見ているクライアントに「安心感」を与える事になるのは間違いのない事実なのです。
私も、久しぶりに会ったクライアントの1人に、「君に会うと、なんとなく安心する」と言われた事があります。ある意味、最高の褒め言葉だと思います。
その言葉1つで、それまでの様々な努力が報われたような気がしたのでした。
交通事故でも同じです。
運転している自身のミスによる事故は問題外ですが、貰い事故など巻き込まれた場合でも同じです。クライアントが警護員の責任を追及するかどうかは別として、警護員としてはそれすらも回避しなければいけないのです。
運転中に、周囲に運転技術の未熟な車両を確認したら、距離を余計に取るなどして万一に備えなければなりません。
雨ならともかく、雪などが降った場合には、外出を控える事も選択肢に入れるべきなのです。都会の人は雪道に慣れていないから尚更です。
高速道路に乗った途端、事故渋滞で動けなくなって、結局予定に遅れてしまった事がありました。
この時運転していた同僚は、その後責任を追及されて異動する事になってしまいました。仕方がないと思いますか?理不尽だと感じますか?
理不尽ではあるかも知れません。しかし、これさえも警護員であれば受け入れなければならないのです。
そんな事には耐えられないという人は、身辺警護は目指すべきではないかも知れません。仮になったとしても、長くは続けられないと思います。
他人の身体生命を預かるからこそ、それだけの自覚と覚悟が求められるのです。
車が急発進した時など、不慮の事故に巻き込まれて被害に遭ったとしたら。
警護中であれば、これも警護員として責任を免れる訳には行きません。運転席に人がいる、またはエンジンが掛かっている。それを確認出来れば、その先に起こるかも知れない突発事案を予測出来ると思いますし、警護中であれば出来なければいけません。
出会い頭の事故というものがあります。これも同様の事が言えます。
曲がり角や施設の出入口など。死角になっている場所の、その先で起こり得る事案を予測出来れば、それは回避出来るかも知れません。そして、警護中であれば出来なければいけません。
発生し得る各種事案を予測出来ない者には、それを回避する事も出来ません。
急な事で間に合わなかった・・・。
まさかそんな事が発生するとは・・・。そんな言葉は、警護の現場では言い訳にもならないのです。
私の同僚が経験した事例として、対象者が外出する際に起こった、こんな事がありました。
対象者宅から目的地まで40分程掛かる事が分かっており、対象者と出発時間について打ち合わせをしました。しかし、対象者の都合で結局30分前に出発する事になり、当然の如く目的地には予定に遅れて到着する事になりました。
普通であれば対象者が遅れたのが悪い、という事になると思いますが、残念ながらこの時は同僚が叱責されました。
「その程度の時間は何とかしてよ」という一言で終わりです。
理不尽だと思いますか?当たり前だと思いますか?
残念ながら、これも警護員としては責められるべき事案となってしまいます。
実はこの対象者は、普段から予定時間に遅れて出発する事がありました。
私自身も同じような状況を経験した事があります。指示された予定の時間に迎えにいって、それから1時間近く待たされた事もありました。
従って、打ち合わせの段階でそれを計算して、多めに時間を見積もる位の事はしなければいけなかったのです。
念には念を入れる、先の先を読む事が、警護員の仕事としては重要になるのです。
複数の対象者に対して、チームで警護に付いていた時にも、同じようなケースがありました。
クライアントからの急な依頼で、事前の打ち合わせの段階では警護の必要がないと言われていたゲストの1人に、急遽警護1名を付けてくれと言われてしまったのです。
それはイベントの真っ最中で、しかもクライマックスでした。正直、余計な人員はいなかったし、少なくとも私は動ける状況ではありません。
取りあえず、2名で付いていたゲストに対しての警護を1名にして、浮いた1名にそちらへ回るように無線で指示を出しました。しかし、今度は無線の混線と荒天による無線の不調とが重なって指示が上手く伝わりません。
その結果、クライアントが痺れを切らせて、直接警護員の1名を移動させるという事態になってしまいました。
これは完全に私のミスでした。メンバーの中には経験の浅い者がおり、臨機応変を期待するのは酷な状況でした。事前に可能性を考えて、メンバーに指示を出しておかなければいけなかったのです。
予定になかったから・・・。急な依頼だから・・・。などという言い訳は、警護業務においては通用しないのです。
身辺警護に限りませんが、業務の中では理不尽な依頼や指示を受ける事も少なくありません。この仕事を離れるものの中には、それが耐えられない、という人も少なくないようです。
私がまだ、この業界に入ったばかりの頃、上司として様々な事を指導して頂いた方からも、常々その事を言い聞かされました。その時は、正直話半分しか理解出来ていなかったのですが、今ならその重要性は良く分かります。
その彼自身も、同様にして鍛えられて来たという事でした。厳しい時期には、血尿も出たという事でした。私はそこまでは至らなかったので、まだまだ甘いのかも知れません。
例えば、彼は上司から対象者を待つ為に、対象社宅の玄関先で待つように指示されました。冬の寒い日で、風をしのぐ為に立哨位置を多少変えた所、その後激しく叱責されたという事でした。寒いという位の理由で上司の指示に従えないなら辞めろ、とも言われたそうです。
その後、同じような状況において、彼は雪の降る中で何時間も待ち続け、結果的に対象者から労いの言葉1つだけですが貰ったという事です。
雪によって濡れた服で対象者と同じ車両に乗車する事が良いか悪いかは別として、その位の強靭な意志がないと警護業務は勤まらないと言う事を、上司は彼に、そして彼は私に教えてくれたのです。