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近所の住民や、以前の彼らの立ち回り先などに出向いて、彼らについての話を聞きました。
その住所、氏名、年齢、家庭環境、家族構成、学歴、職種、交際関係などなど。バラバラだったパズルのピースが少しずつ繋がっていくと、彼らの行動の理由も見えて来るようでした。
その住所、氏名、年齢、家庭環境、家族構成、学歴、職種、交際関係などなど。バラバラだったパズルのピースが少しずつ繋がっていくと、彼らの行動の理由も見えて来るようでした。
多くの少年達は家庭環境に問題を抱えており、同情の余地もありました。しかし、家庭に何一つ問題がないという事も、逆にあり得ないのです。自分達の行為を家庭のせいにするのは間違いであり、犯罪行為に及ぶ口実にはなり得ません。
彼らを更生させるような大それた事は出来ないにしても、それ以上の犯罪行為をやめさせる為にも、そろそろ手法を変える段階に来ていました。
彼らを更生させるような大それた事は出来ないにしても、それ以上の犯罪行為をやめさせる為にも、そろそろ手法を変える段階に来ていました。
また、徐々に情報が増える中で、少年達の先輩格の人間の中に暴力団との繋がりが見えて来ました。少年達は組織的な窃盗集団として行動しており、その利益が組織に流れている事も推測されました。
窃盗だけであれば、少年達の小遣い稼ぎで終わったかも知れません。しかし、その盗品の転売という別の話が見えて来ると共に、売買ルートやその窓口になる者達の存在など、少年達だけでは手に負えないと思われる事案が出て来ました。何らかの組織が動いていると考えなければ納得出来ない位の大きな話になって来たのです。
それらしい人間が定期的に少年達を会っているという情報もあり、その後私達も実際にそういう人物を複数目撃する事になります。
流石に、そういう人間が私達に直接接触して来る事はありませんでしたが、こちらの存在は認識し、正面からその様子を見に来た事もありました。
こうなると、対応方法は今まで以上に慎重にならざるを得ません。1つ対応を間違えると大変な事になるかも知れないのです。
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ある日、3人の小学生を現行犯で捕えました。
初犯だったようで、大人しく指示に従い、こちらの質問にも答えてくれました。なんと付近の小学校では、その店は絶対に捕まらない、捕まえないという話で有名だという事でした。
これには驚きました。しかし、これで怖い思いをした3人は学校でもその話をする筈で、おそらく良い意味での広告塔になってくれる事を期待しました。
初犯だったようで、大人しく指示に従い、こちらの質問にも答えてくれました。なんと付近の小学校では、その店は絶対に捕まらない、捕まえないという話で有名だという事でした。
これには驚きました。しかし、これで怖い思いをした3人は学校でもその話をする筈で、おそらく良い意味での広告塔になってくれる事を期待しました。
小学生達の話を裏付けるように、学校帰りの高校生や中学生。明らかに部活帰りの子供達が、ごく平然とドリンクやアイス、スナックのコーナーに行き、そして周囲の目を盗んで窃盗を行っていました。毎日のように数十名の不審者を確認していたのです。
彼らには彼らなりの嗅覚のようなものがあるらしく、すぐにこちらの存在に気付いて行為を中止しましたが、目を離せば確実に実行していたでしょう。
柱の陰でバッグを開いて商品を入れたり、仲間が盾になって人目を遮って実行するような悪質なケースもありました。殆どがドリンク1~2本というところで、被害額としては大きいものではりませんでしたが、言うまでもなく塵も積もれば・・・という事です。
我々の勤務が始まってから約1ヶ月後には、一般の不審な行動をとる中高生は殆ど見掛けなくなりました。
残るは問題の少年達でした。
少年達は、ほぼ毎日のように特攻服で来店していました。
1人で来る時はおとなしく購入しますが、複数で来ると我々の視線を避けるように動きます。警戒されていると分かっていて窃盗行為に及ぶ事は考えられませんでしたが、それでも目を離す訳には行きません。
何より、他のお客様達が彼らを恐れ、それによって大切な顧客を失う事があってはいけません。しかし、少年達も大人しく商品を購入している時には間違いなく「お客様」であり、乱暴な対応をする訳には行きません。
そうやって終わりの見えないイタチごっこが続くようになりました。
しかし、その間にも時間を浪費していた訳ではありません。店での日々の警戒と並行して、我々は少年達についての調査を開始しました。
勤務が始まって間もない頃、店舗のスタッフから指摘を受けた事がありました。
我々がスーツで勤務をしているのを見て、それではバレバレだよ、と言うのです。勿論、これは承知の上でした。
万引き等を現行犯で逮捕する事が出来れば、それはそれで1つの目的でした。しかし、今回の業務の主な目的は、脅威対象者である少年グループの排除でした。従って、初めからハイ・プロファイルで彼らにプレッシャーを掛ける事を目的として、スーツを選択したのです。
同時に敢えて目立つ事で、店舗の姿勢を外部にアピールする事も出来ます。
基本的には長期的な保安体制の確立を目指していたので、万引きを捕まえる事よりも、万引き出来ない雰囲気を作る事を考えた訳です。そこで不審な者には敢えて近づいてプレッシャーを掛け、最初から行為を諦めさせるように仕向けたのです。
まあ、いずれも一般の方からすれば理解出来ない考え方なのかも知れません。
実際に、店舗の方にその意味を理解して頂くまでには何階もの説明と時間が必要でした。というよりも、本当の意味で理解して貰えたのは全てが解決した後だったと思います。
そして、その日の業務終了間際に、もう1つ「ヤマ」が訪れました。
少年達が帰り、間もなく閉店を迎えるというその時、1人の青年が店から出て来ました。ごく平然としていて、一見不審な点などありません。私も、普通に見送っていました。しかし、その後ろ姿に違和感を感じて見送っていると、やがてそれに気付きました。彼は店の籠をそのまま持っていたのです。
但し、この時点では彼を疑う事は出来ませんでした。最近はエコロジーの観点から、ビニール袋を使用せず、マイバッグを使用したり、商品を自家用車や自転車に直接積み込む事が少なくないからです。
私は、彼の行き先を見送りつつ、ゆっくりと移動を始めました。彼は駐輪場でも駐車場でもなく、店の前の道路を渡ったのです。
違法行為である事は、ほぼ間違いない。けれど勤務初日から誤認逮捕をする訳には行きません。
違法行為である事は、ほぼ間違いない。けれど勤務初日から誤認逮捕をする訳には行きません。
実は、このスーパーでは依然誤認逮捕があり、大きな問題になった事がありました。その後、万引き等で現行犯逮捕する事を事実上禁止する通達がチェーン展開する全店舗に伝えられました。そのようなトラブルを再発させるよりも、多少の被害に目をつぶった方が良い、という判断だったのです。結果的には、これが事態を悪化させる事になってしまった訳ですが。
私は道路を横断しました。その足音に気付いた青年が振り返りました。その挙動と表情から、疑いは確信に変わりました。
私は一気に距離を詰めましたが、一瞬早く彼が走り出しました。商品の入った籠はその場に置き、暗闇の中に走り出したのです。敵ながら見事な逃げっぷりでした。
私は一気に距離を詰めましたが、一瞬早く彼が走り出しました。商品の入った籠はその場に置き、暗闇の中に走り出したのです。敵ながら見事な逃げっぷりでした。
これが勤務初日でなければ、もっと早く声を掛けていたと思います。また、土地勘のないその状況で追跡する事はリスクが大きいと判断したのですが、これも初日でなければもう少しは追跡出来たかも知れません。
狙われた商品は、お米やビール、お刺身などの生ものもありました。全て食料品です。明らかに手慣れた動きと様子から、初犯ではないと推測されました。
その後、防犯カメラで確認した所、彼は入店から退店まで僅か8分しか店内にはいませんでした。狙いを定めた、計画的な犯行だという事です。
見た目はごく普通の人々が、ごく平然と窃盗行為に及んでいる。そこに罪の意識は殆どないと思われました。
6人の少年達は、店内に入ると同時に2手に別れて動き出しました。明らかに怪しい動きです。
一方はレジや店長らから見える位置で動き、一方は死角へ死角へと入って行きます。
私は、ペアを組んでいたパートナーに陽動と思われる者達を遠方から見張らせ、自身はもう一方へと近付きました。
一方はレジや店長らから見える位置で動き、一方は死角へ死角へと入って行きます。
私は、ペアを組んでいたパートナーに陽動と思われる者達を遠方から見張らせ、自身はもう一方へと近付きました。
本来であれば、業務初日から彼らに認識される事は避けたかったのですが、こうも堂々と動かれて、手をこまねいて見ている訳にも行きません。
また彼らの方でも店舗の外にいる内から我々を認識していたらしく、店内を動きながらこちらを意識し始めました。こうなると現行犯で身柄を押さえる事も困難です。
私は、敢えて距離を詰める事でプレッシャーを掛けて、店に来にくい状況を作ってしまうという当初考えていたプランの1つに急遽切り替えました。
「何だよ、何見てんだよ?」「警察かよ?」
少年達は口々に不満を漏らしつつも、間もなく店を後にしました。
これは、後に長く続く事になる、彼ら窃盗グループとの戦い日々の始まりに過ぎませんでした。
その日だけでも、他にも制服姿の少年達5人が来店し、これまた堂々と店内を回り始めました。
その目線や態度から、買い物をする雰囲気は皆無でした。店の外で既にこちらの存在を認識されていたので、先程と同様に距離を詰めてプレッシャーを掛けました。
その目線や態度から、買い物をする雰囲気は皆無でした。店の外で既にこちらの存在を認識されていたので、先程と同様に距離を詰めてプレッシャーを掛けました。
「何だよ、何もしねえよ」
等々、彼らも口々に不満を漏らしつつ店を後にしました。彼らは、その後しばらく姿を見せなくなりました。
推測の域は出ませんが、学生であるという事は万一の場合学校に通報されて様々な処分を受ける事になりかねません。
護るべきものや立場があるものは、そうそう馬鹿な真似はしないものです。
その点、特攻服の少年達は、来店した時間やその服装から学生である可能性が低いと推測されました。失うものがない、あるいは失うものが少ない者達は恐れを知りません。
こういう者達が一番厄介なのです。